休止中

次のウェブを参照



CLIL SAITAMA(旧名称)

Current Practices and Future Perspectives of Content and Language Integrated Learning (CLIL) in Japan

CLILは、次第に注目を集めています。本サイトは、笹島茂がかかわるCLILの実践やつぶやきを集めたものです。参考にしてください。

CLILアンケート調査


にご協力ください。

2017年2月6日月曜日

日本CIL教育学会(J-CLIL)発足

さまざまなことに忙殺され、このブログも機能していないことに、先ほど気づきました。

投稿も滞り、おそらく閲覧する人も少なくなッタようですので、このブログの役割は終わったと思います。

2月4日に、日本CIL教育学会(J-CLIL)発足が決まりました。正式には4月15日に発足の会を行う予定です。

いずれにしても、CLILに関してはかなり前向きになり進んでいます。その分さまざまな課題も出てきています。私個人はCLILを宗教のようには考えていませんので、CLILをするかしないか?という対立軸は設定したくありません。CLILに興味のない人でも良い教育をすることが大切です。CLILに興味があっても良い教育でなければやめたほうが良いと思います。

大切なのは学習者の「学び」で、教師の考えを押し付けることではありません。

ということで、このプログでとりとめもなくCLIL関連のことをつらつらと綴ってきましたが、一応ここで正式にストップさせていただきます。

人の考えはかなり違います。ここ数年CLILの実践を続けてきましたが、言語や言語教育に特化した思考を優先する人と、英語を単に道具として英語を使って学ぶ、あるいは、仕事をしている人とは、かなり思考経路が異なっていることを痛感します。

言語学、言語教育学など、それなりの専門性があるので当然ですが、その専門性をうまく生かしながら、教育を効果的にする必要があります。その途上にある一つの教育がCLILであり、すべてではありません。

そこで、このブログを休止するにあたり、日本のCLILの今後の課題をメモしておきます。

1 統合教育(integrated leanring)の枠組みとカリキュラムのフレームワークの提示
2 言語教育に関する教師の思考の理解と変革
3 CLILの言語政策的な導入のあり方
4 教員養成システムと学習指導要領の改訂(統合教育の導入と言語教育の刷新)

以上です。今後は、日本CLIL教育学会を中心に発言していきます。

※とりあえず休止ですので、また再開するかもしれません。



2016年9月25日日曜日

Toyo Eiwa CLIL ReNなど 「CLILって何ですか?」調査

あれやこれやで忙しく、すっかりこのブログを書く時間がなくなりました。

7月2日は大成功でした。それをきっかけに

Toyo Eiwa CLI ReNもスタートしました。

さて、この夏は、私の周りではCLILに関しては、多くのことがありました。自分でも学ぶことが多く、CLILというものがどのようなものかは、私の中ではある程度納得できる一つの教育として根付いたと考えられるようになりました。

それとともに、CLILに対してはずいぶん懐疑的な意見を耳にしているのも事実です。裏を返せばその分だけCLILが浸透してきたとも考えられます。

そこで、日本でも定着し、CLILを実践する(あるいは実践しようとする)方も多くなったので、調査をしています。CLILについてみなさんがどう考えているのかを調査する目的です。


簡単な質問です。よろしくお願いします。結果はこのウェブで報告します。

調査の趣旨は、「CLILって何ですか?」という根本的な質問に関して、何度も質問されるからです。

結論から言うと、これに対する答えは難しいです。例えば、英語教育一つとっても、

文法訳読って何ですか?
CLTってなんですか?

などの誰もが当たり前のように使っている用語も同様です。

教育関連の面白さはそう簡単に答えられない人の営みの複雑さにあります。教育を科学することはもちろん重要ですが、「科学する」をここ数十年の英語教育研究の伝統を考え直す必要があると思っています。

CLILは発想はシンプルですが、Integrated(統合した)の意味が広く、かなり異なります。どう統合するかは人により状況により違います。これを判断するのは、CLILを教える教師です。ところがCLILを実践する教師の考えは必ずしも同じではありません。

ということで、ご協力をよろしくお願いします。





2016年5月9日月曜日

Toyo Eiwa CLIL Seminar on 2nd July, 2016

お待たせしました。東洋英和女学院大学でCLIL研究ネットワークを立ち上げます。まだ多少暫定的ですが、とりあえず始めます。

始めるにあたり、オーストラリアより二人のCLIL研究者を招き、セミナーを開催します。ぜひご参加ください。

日時:7月2日(土)午後1時〜5時
場所:東洋英和女学院大学(横浜キャンパス)5号館

予約不要で、無料です。

なぜ、オーストラリアかというと、翌日に行われる大学英語教育学会(JACET)関東支部大会と連動して、ヨーロッパとは違う文脈で発展するCLILを考えようという趣旨です。

また、東洋英和で行っているCLILプロジェクトの話も関連させて、ヨーロッパと離れたCLILのあり方を模索することを目的としています。詳しくは、Toyo Eiwa CLIL ReN を見てください。

これをきっかけに、定期的にCLILの勉強会を開催していきたいと思います。ぜひ、ご参加ください。

2016年4月3日日曜日

東洋英和女学院大学(横浜キャンパス)CLIL セミナー

あれやこれやとしているうちにあっという間に4月になりました。

さぼっているわけではなく、2月、3月とCLILについてはリサーチと実践を続けています。ますます日本的なCLILのあり方を模索しています。

私は、以前から述べていますが、あまりCLILの理論的研究には興味はありません。実践に興味があります。実践のためのリサーチを続けています。東洋英和に来てからはより一層実践を追求しています。

その目的で、東洋英和英語教育(CLIL)研究交流会(東洋英和CLIL ReN)を開催してきました。詳しくは、https://www.facebook.com/toyoeiwaelte/ を見てください。

今年度は、東洋英和女学院大学(横浜キャンパス)で、CLILセミナーを開催します。ぜひご参集ください。詳しくはまた連絡しますが、オーストラリアから二人のCLIL研究者を招きます。概要は下記のとおりです。

日時:7月2日(土) 1時〜 
場所:東洋英和女学院大学(横浜キャンパス)5号館
 内容:CLIL Seminar
講師:Margaret Gearon氏
   Russel Cross氏 (オーストラリアのメルボルン大学)

乞うご期待です。どなたでも参加可能です。無料です。


2016年1月5日火曜日

2016年 CLIL

2016年、あけましておめでとうございます。



前回投稿よりすっかりご無沙汰してしまいました。しかし、私がさぼっている間に日本のCLILは多様に発展しています。私がどうのこうのと言う必要もないほど多くの研究者、教師が関心を持ち、実践が始まっています。嬉しいことです。私の役割は終わったように思います。

それとともに、CLILは決して特別な指導法ではなく、マジックがある訳ではない、ということも、ようやく認識されてきたようです。それでも、CLILには魅力的な面が多々あります。それを日本の英語教育の伝統的な「思い込み(assumption)」を変えるきっかけとしてほしいと思っています。

2015年は、小学校でのCLIL指導法について中心的に考えてきました。小学校英語の指導者はたくさんいますので、私がとやかく口を出すのはどうかと思いますが、私自身はかなり前から小学校の外国語教育や教員養成には関心を持っています。これまで、ヨーロッパの小学校は、CLIL も含めてかなりの外国語授業を見てきました。その中で、CLIL的なアプローチの必要性を痛感して、小学校でのCLILを進めたいと思った次第です。

前回の投稿より、CLILに関してどのようなことをしてきたのかというと、次のような会を始めました。

TOYO EIWA ELTE  https://www.facebook.com/toyoeiwaelte/

東洋英和の法人を中心に、小学校などでの英語教育をCLIL的に考えて、こつこつと勉強会を開いてきました。

また、小学校のCLIL指導法に関する本の出版を模索してきましたが、もうちょっと時間がかかるようです。

さらには、WALS(World Association of Lesson Studies)2015でタイのコンケーンに行き、次のようなタイトルで研究発表しました。

Teachers’ cognitions on Content and Language Integrated Learning CLIL) in primary education

小学校の先生がCLILを実践する授業研究の中で教師認知をふりかえるよいきっかけとなるという趣旨の発表でした。その際に見学したタイの小学校の英語授業でやはりCLIL的な英語教育の必要性を感じました。タイの英語教育は日本とある面でとてもよく似ています。つまり、共通の問題を抱えています。

年賀状はそのときに訪れた小学校の一つでのワンショットです。タイは小学校から英語教育を実施していますが、その実態はかなり多様です。CLIL的なアプローチも始まっています。しかし、私は、タイの実態をちょっと垣間見て、学校教育文化や教師の「学び」に対する考え方を考慮しないと、いくら政策を変えても、大勢は変わらないような印象を持ちました。それでも、小学校の英語の先生にCLILアプローチを勧めて来ました。

それはさておき、2015年の後半は、その他いろいろなことがあり、また私事でもいろいろあり、あっという間に暮れてしまいました。気づいてみたらこのブログも半年ほど更新していませんでした。しかし、私が個人的にあたふたしている間にCLILはますます発展してきました。よい方向に行くことをただただ期待しています。

さて、そこで本題の2016年のCLILを展望してみたいと思います。CLILはどう進展するのでしょうか?

文部科学省の外国語教育政策や教員養成や研修はそれほど悪い方向には向いていないと思います。が、教員がもう少し主体的に活躍できるようなシステムにしてほしいと思います。どうしても上意下達という印象が強いように思います。また、従来の固い形式的な考え方から脱却できていないようです。私自身は、CLILに関しては文部科学省の方に一度話したことがありますが、どうも理解してもらえなかったようです。理由は、外国語(英語)教育に対する伝統的価値観だと思います。

日本の英語教育はそれなりの歴史があり、伝統があります。学習指導要領自体は決して悪いものではありません。また、授業研究にも有益な知見の蓄積があります。英語教育研究や実践のネットワークも誇るべきものがあるでしょう。他国の状況から見ても、優れた実績があります。が、文部科学省的に言うとそれではダメなようです。「英語を使って授業をする」「英語教員の英語力がない」「授業内容が満足できるものではない」「ネイティブスピーカーの力が必要」「ICTを活用すべき」「英語力の到達度を明確に」などなど、改善の余地が多々あり、教員養成のコアカリキュラムを設定し、養成課程を改善し、もっと英語力のある教師を養成する必要があるということのようです。

政策としては、小学校から英語教育を推進し、テストで測定できる英語力を伸ばし、国際的に活躍できる人材を育てる。そのためには、英語教師の英語力を上げ、英語力のある教師を育成し、英語力のあるリーダーが核となって各地域の英語教育を先導する。その結果、学習者の意欲ある者が海外に行くことで英語力を高め、グローバルに活躍できる人材となる。

教員研修に関しては、

集中研修でリーダーを養成(英語教育推進リーダー、中核教員) 

リーダーを中心として各学校で広げる

という、上意下達の方式が踏襲され、英語教育拠点地域の推進や外部試験の利用などを柱としています。

教員研修のほか、ICTを活用することが推進されていますが、昨年の調査では、やはり基礎基本のアナログ的な、読み書き聞く話すという技能が必要だということが報告されています。

OECDの調査:Students, Computers and Learning Making the Connection

このような教育政策の中に、CEFRの考えは導入されていますが、CLILはちょっと外れているようです。この点がヨーロッパのようにはいかない日本の状況だと思います。その批判はこれまで多くの方から聞いています。

それはそれでいいような気がしますが、2016年からの希望は、草の根的にCLILアプローチが浸透することです。

私の2016年のCLIL実践の基本コンセプトは、

『英語授業活動の中で、英語を無理せず使い、言語意識を育み、学ぶ内容について考え、ものの見方や違いに対する理解を培うことをねらいとして、それぞれの状況に合うCLILアプローチを開発する』

このように考えて、どの学習段階でも、どのようなカリキュラムでも、教師の裁量で授業をおもしろく工夫することができると考えています。

ブログの更新は滞ると思いますが、今年もよろしくお願いします。















2015年8月15日土曜日

JACET関東支部大会シンポジウム


7月12日(日)にJACET関東支部大会が青山学院大学で行われました。その際に、次のタイトルで、森住衛先生と塩澤正先生と私でシンポジウムを行いました。

統合型英語教育における異文化間多様性
Intercultural Diversity of Integrated Learning in English Education 

森住先生の大きく深い視点は、「文化」ということをそう簡単には論じられないことを指摘しました。また、塩澤先生も、同様な視点から、より実践的に「文化」を論じてくれました。私は、軽く「文化」を取り上げました。「異文化間多様性」はintercultural diversityという英語を直訳した日本語で、少し判りにくいかもしれません。私は次のように理解してシンポジウムに参加しました。

intercultural diversity   文化と文化が相互に接触することにおいて起こる多様性

「異文化」という語は、「異なる文化」という意味ですが、私の個人的な感覚で、どうしても、異人、異邦人など、「ふつうとは違う」「自分とは違う」というようなニュアンスがあると感じてしまうので、あまり使いたくないので、ここでは、

intercultural diversity =  文化間多様性

として考えます。

文化は日本でも多様になってきていることはまちがいありません。その意味から実践的な文化ということについて、CLILという統合的な学習において、私は考えました。

その際に、私は、「CLILにおける統合の意味と文化の扱い」ということを話しました。スライドはここをクリックしてください。そこで、「統合(integrated)」の意味について次の点に触れました。

• 学習者は多様な文化に直面している
• 英語学習は英語学習だけではおさまらない
• 学びの場面は複雑だ
• 多くの学習者にとって英語は道具にすぎない
• 言語も文化も学ぶ対象だ
• 学ぶことや教えることを楽しむ
• 統合の中に何かが生まれる

CLILはごちゃごちゃしている感じが好きです。その意味で、統合をとても大切にしているし、統合がなければCLILとは言えないでしょう。その点から、英語学習であれば、英語を学び使うということは、学習者にとっては単に道具でしかないと考えます。しかし、これが意味を持ち、文化も深く考えるためには、言語自体が文化になり、単なる道具ではなくなり、学習や思考には欠かせないものです。

CLILは、その点で、かなりの部分を学習者に委ねる教育です。教師が主体ではなく、あくまで学習者が主体となり、多様な学びを提供します。そこで、次のように、CLILの面白みを提案しました。

• 定型のない指導 ⇨ 開発
• 学習者が中心 ⇨ 教師と学習者の協同
• 個々の学習者の学習過程の複雑さを大切
• 複雑な学びの中で、学習者自身が思考し発見する状況を「見取る」
• CLILは一つのComplex Adaptive Systems
• 何が起こるか分からないが、系統的

この中で、強調したい点は、CLILは一つのComplex Adaptive Systems(CAS)(複雑性適応系)と考えると分かりやすいということです。授業自体がCASと考えられるのですが、CLILはまさにCASです。CASは複雑に展開しますが、自然となんらかの方向性に向かい落ち着きます。いままでの日本の英語教育はなんらかのCASを形成しています。CLILはこのような英語授業をいままでとは少し形を変えたCASを発現する可能性があると考えています。その点にCLILの面白みがあるのです。

これには、文化間意識(intercultural awareness)は重要です。シンポジウムではその点を述べたかったですが、なかなかむずかしいですね。


2015年8月14日金曜日

JACET北海道支部での講演

あっという間に、時が過ぎました。ブログに書こう、書こうと思いながら。。。遅くなりましたが、報告します。

7月4日(土)に北海道ニセコにおいて行われたJACET北海道支部総会で話をしました。「CLIL/CBLTが育む 英語教師のこころの変化」と題した話です。その他、シンポジウム「言語教師認知研究と英語教育」を、河合靖先生、志村昭暢先生、中村香恵子先生と行いました。シンポジウムは、本ブログとは話題が違うので割愛しますが、充実した1日でした。

ニセコは、初めて訪れたところですが、噂で聞いていたとおり、オーストラリアや中国の人たちが多く住むようになり、地方からおもしろい形であちらこちらとつながるようになっていると感じました。グローバル化とか国際化とか言われて騒いでいますが、これってごくふつうのことのような気がしました。ただ少し危惧するのは、地元の人がどう対応しているのかという点でした。おそらくなんらかの軋轢があるはずですが、印象としてはたいへんポジティブで、うまくいってほしいと思います。

さて、私の講演ですが、「CLIL/CBLTが育む 英語教師のこころの変化」と題したとおり、タイトルにCLILに加えてCBLT (Content-based Language Teaching)ということばを入れて、英語教師のこころについて話しをしてみました。少し焦点がぼやけて、ピントがずれたかもしれません。期待されていた話は、CLILのもっと具体的な部分のようでした。

そこで、二つの相反する方向性に気づきました。

1)CLILに興味を持つ人が多くなり、今後の発展の可能性
2)CLILは結局ヨーロッパの教育で、日本での実施は無理

どちらに向かうのかは、教師の考え次第です。

私は、そのように考える教える側に興味があり、その教える側の立場からCLILに興味を持ちました。というのは、私自身の教え方も実際CLIL的な要素がある授業を展開していたので、自然にCLILに近づいたので、あまり違和感がありませんでした。しかし、それとともに、言語教師の教えることや学ぶことに対する考え方(教師認知:teacher cognition)を研究しているうちに、日本の中高で教える英語教師の認知(「こころ」と呼んでいます)が、長い年月の間に構築されたある集合的な方向性を持っていることに気づきました。それを変える可能性があるのが、CLILという教育理念だと考えたのです。

日本の英語教育の問題は、何も日本の英語教師だけにはかぎりません。私の話は、ネイティブ・スピーカーがCLILに取り組むことにより、その「こころ」がどう変化したかに多少触れました。ちょっとそのあたりがうまく話せませんでしたが、ネイティブ・スピーカーとのティームテイーチングによりかなり変化しました。効果はあったと考えています。

北海道でもCLILがかなり興味を持たれているようで、同時期にいくつか同じ話があちらこちらであったようです。CLIL についても理解が進んでいるのでしょう。多様なCLILがあり、また、CLIL自体がそれほど特別なものではないと受け止める人が出てきています。「これまで展開されてきた内容やテーマを重視した英語授業と何が違うのか?」という素朴な疑問があるようです。これは、言い換えれば、多くの人がCLIL的な内容を実践されているということでもあります。うれしいことです。ぜひ、よいかたちで進んでほしいと思います。

北海道支部の取り組みがhospitalityというテーマを中心に展開しているそうです。そのためにニセコを選んで大会を行ったと聞きました。hospitalityというのは状況により、また、文化によりかなり異なります。相手がどう感ずるか、どう考えるか、そのために自分はどう行動するのか、などなど。この視点は、CLILの4つの原理の一つであるcultureと共通します。

CLILがヨーロッパとは異なるかたちで北海道の言語教育に定着してくれたらうれしいです。

発表スライドは、ここをクリックしてください。