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CLIL SAITAMA(旧名称)

Current Practices and Future Perspectives of Content and Language Integrated Learning (CLIL) in Japan

CLILは、次第に注目を集めています。本サイトは、笹島茂がかかわるCLILの実践やつぶやきを集めたものです。参考にしてください。

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2013年6月30日日曜日

古くて新しい教育ーCLIL

6月29日(土)目白大学外国語教育研究会にてCLILの話をした。発表資料はこのブログに置いてあるので興味ある方は見ていただければと思います。今回は、「古くて新しい教育ーCLIL」と題して、CLILの概略的なことを話し、教材について紹介した。

目白大学の言語文化学部の修士課程の学生の人たちと一般の方が聴衆だった。私の話だけではなく、日本語教育を専門とする池田先生の話と、修士課程を終えて人たちの体験談があった。貴重な機会であり、楽しく話させてもらった。

話の中でも触れたが、CLILはプリミティブな教育だと思っている。特にヨーロッパで広がるCLILを日本で実施するということはなおさらである。「プリミティブ」という意味で、「古くて新しい」とCLILに冠をつけた。私自身は、このブログでも何度か触れているが、CLILを研究の対象とするよりも、実践の対象として興味を持っている。ヨーロッパのCLILをそのまま日本で実施しようとも思わないし、CLIL自体にとらわれた授業実践をするつもりもない。実際ヨーロッパで私が見たCLILは様々であり、最初にメソッドがある訳ではないようだ。様々な状況に応じて教師が工夫すればよいのだと思う。こうしなければいけないと考える必要もないだろう。その意味から、CLILはプリミティブと考えている。ぜひ、多くの教師が関心を持って、いままでとは違う「学び」を考えてみてはどうだろうか?そんな趣旨で話をした。

私自身もCLIL的な授業をしている。CLILとは言えないかもしれないが、私自身はけっこうイケテルと思っている。自分の教え方にCLIL的な要素を取り入れている。ぜひ、いろいろな「学び」の場にCLIL的な観点をもって、「何かの知識や技能(content)を、目標とする学習言語を媒介としてコミュニケーション(communication)しながら、考え工夫しながら思考力(cognition)を高め、文化的な面も含めて学びの場(culture, community)をとおして、言語のしくみ(language)を理解しながら、学ぶ」機会を、教師は学習者に提供してほしいと考えている。

私にはカリスマ性もなく、話も決して上手ではない、英語教師としては英語力も専門的な知識もそれほど優れているわけではない。授業も人に見せて、授業の達人と言われることもない。ましてやCLILの達人でもない。CLILの授業の模範を見せることもできない。それでも、『英語教育』の記事にも書いたが、「CLILはおもしろい」と思っている。学習者の反応がある程度あることと、自分の教え方にも合っているからだろう。すべての教師や学習者がCLILをよいと思うことは当然あり得ない。教師は本当に様々で自分の教え方を変えることはほとんどない。それはそれでよいのだが、ちょっと教え方に迷っている人はCLIL的な授業をしてみてはどうかと思う。

今回の研究会に一人の目白大学ではない学生が参加していた。聞くと、CLILに関心があるそうだ。教師も目指しているそうなので、ぜひ研究なり実践なりをしてみたらと話した。若い人が関心を持ってくれるくれることはとてもうれしい。今回の一番の収穫だった。また、ある中学校でCLILを実践しようと計画している話をある人から聞いて、いよいよ中学校でもCLIL的な授業実践が始まると思った。これも収穫だ。後は、大学や大学院でCLILの教員養成講座が始まることだと思った。

本研究会を主宰してくれた鎧屋先生、渡部先生、岡先生はじめ目白大学の先生方に感謝したい。

2013年6月17日月曜日

小学校外国語活動におけるCLIL実践とその展開

6月16日、青山学院大学で開かれた大学英語教育学会(JACET)の関東支部大会で、池田真先生(上智大学)、山野有紀先生(上智大学大学院生)と「小学校外国語活動におけるCLIL実践とその展開」という演題で、シンポジウムを行いました。

明日一番の発表にもかかわらずたくさんの方が参加され、有意義なシンポジウムとなりました。発表スライドは、本ブログに掲載しましたので、興味のある方はダウンロードしてください。

シンポジウムを終えた感想を簡単に述べておきましょう。小学校の外国語活動に関係する人はますます増えていると実感するとともに、たぶん何かを求めている人が多いのではないかと思いました。私自身は直接小学校の英語教育を実践しているわけではありませんが、10年ほど前からずっと興味を持ってアジア、ヨーロッパを中心に、特に教員研修に関心を持って調査しています。その調査からCLILに行き着いています。私の中では、小学校で外国語を指導することは議論の余地のないことで、あまり小学校の英語教育は必要か必要でないかというような議論には参加したくはありません。

子供にとっては、母語、外国語と分けるよりも、単に「ことば」ということで、言い方を換えれば、「コミュニケーション」であり、コミュニケーションをすろとなれば、内容をともないます。そのためには、「考える」ことが必要です。学びという面から考えれば英語を学ぶことは当然ではないでしょうか?CLILにはその要素がすべて入っています。

しかし、私自身CLILにあまりにも肩入れするわけではありません。大切なことは、学習者が満足できる学習の場を教師が提供することですから、方法論にこだわる必要はないと思っています。

そのような点から、このシンポジウムでは、山野先生が実践の報告をしてくれました。進んでいるなと強く感じました。池田先生は、CLILの研修の枠組みを提示し、具体的な内容に触れてくれました。ちょっと時間が足りなかったですが、CLILが小学校の外国語活動に適する一つの有効なアプローチであるということは伝わったと思います。

今後もますます多くの小学校の先生がCLIL的なアプローチに関心を示して、こどもにとって有益な外国語活動を展開してくれることを願ってやみません。