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CLIL SAITAMA(旧名称)

Current Practices and Future Perspectives of Content and Language Integrated Learning (CLIL) in Japan

CLILは、次第に注目を集めています。本サイトは、笹島茂がかかわるCLILの実践やつぶやきを集めたものです。参考にしてください。

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2014年9月28日日曜日

CAN-DOリストに関連したCLIL評価の提案

国際教育研究所月例研究会で『CAN-DOリストに関連したCLIL評価の提案』というタイトルで発表させていただきました。この研究会ではCLILに関してたいへんお世話になっている。ありがたいことです。この研究所は、羽鳥博愛先生が中心となって日本の英語教育を支えてきた重要な研究所です。羽鳥先生にお会いできて、写真のとおり、楽しくおしゃべりできました。まだまだご健在で東京オリンピックの話やリニア鉄道の話など実に元気で見習う点がありました。私がまだ高校教師の駆け出しの頃に、羽鳥先生の著書や講演を聞いて、ずいぶんと勉強させていただきました。羽鳥先生のいつまでも変わらない柔軟な考え方と前向きな真摯な姿勢に感銘を受けました。


羽鳥先生、山岸先生のおかげで、この研究所の会でCLILを取りあげていただき、CLILはますます広がりを見せています。ほんとうにありがたいことです。しかし、それとともに、課題も明確になってきました。その一つが本日話題とした評価の問題です。

私は、CAN-DOリストには、CEFR研究の関連からずっと興味を持っています。また、自分でも実践し、使用しています。CLILというのは、CEFRとは密接に関係しているわけですが、決して同じフレームワークの概念ではありません。しかし、現実問題として、CEFRを利用した評価とCLIL実践はヨーロッパでは車の両輪のように動いています。その話を、dynamic assessmentと関連させて話をしました。参加者の方と忌憚のないやりとりができてたいへん勉強になりました。発表スライドは本ブログからダウンロード可能です。

一つ本日の話の中で、多くの人に考えていただきたいことがありますので補足します。それは、評価に対する考え方です。

評価 = テスト

という考え方です。これは意外に根強いように思います。「科学的に評価する」あるいは「客観的に評価する」「正確に評価する」などなど。

評定は学校や授業のシステム上しなければいけません(それも本当に必要かどうか?)が、私たち教師は本当に「正しく」対象生徒の学力を評定できるでしょうか?

評定するにはテストが必要です。そこで、あるテストを作成して、テストをするとします。しかし、そのテストは、学んだ知識や技能が定着しているかどうかを測定することを目的としている場合がふつうです。しかし、それはCAN-DOの本質とは違うと考えています。
テストは、あくまで結果を見るということで、点を測定します。測定したい知識や技能の一部を測定し、可能なかぎりそれに近い部分を判断しようとしているとは言えますが、それ以上は言えないでしょう。

また、その測定は何のためにしているのか?という問題があります。これは表向きには「形成的評価」「総括的評価」などという名目で学習者に提供しているかもしれませんが、目標を決めて、その指導をして、それがどのくらい達成したのかという結果という点の評価です。その点を測定することを目的として評価することが、「形成的評価」「総括的評価」につながるということでしょう。

しかし、それは教師として本当に学習者に提供したいことでしょうか?

TOEFLやIELTSなどの英語テストは、ある程度綿密にその受検者の英語力を推定しています。しかし、その結果は必ずしも対象となる人の「コミュニケーション能力」の全体を判断しているとは言えません。ある前提のもとに推定してスコアやレベルを出しています。それはそれで価値がありますが、その場合の教師の役割は別にあります。その一つが、そのスコアやレベルをもとに、質的なサポートをすることです。

CLILは、そのような言語力を内容や状況と併せた統合学習を評価すること求められています。ということは、「複雑でむずかしそうだ」と考えがちです。それは無理だからやめようとなるかもしれません。それはひょっとすると思い込みかもしれません。

本題のCLILにおけるCAN-DOの利用を考えてみましょう。

CLILの評価を考えた場合、CAN-DOはある面で有効だと思います。問題は、CAN-DOの本質を理解しているかどうかです。単に「〜ができる」かどうかではあまり意味がありません。CAN-DOの本質は、ふりかえりであり、self-assessmentです。自律学習の育成です。そのためには、学習プロセスをassessするということが重要です。CAN-DOはこのassessに有効だと思います。そこで、CLILのCAN-DOは「何を」が工夫のポイントとなります。

さらに、その「何を」に関連して、授業活動の中でのやりとり、教師とのやりとり、学習者同士のやりとりの中で、assessすることを一義的に考えることが大切です。つまり、ここで、dynamic assessmentの観点を取り入れます。dynamic assessmentは言語テストには馴染まないかもしれません。より教育的です。つまり、指導しながら評価し、評価しながら指導する、あるいは、学びながら評価を加え、評価を考えながら学ぶ、いわば指導的な評価だと思います。学習者の点を見ることではなく、学習者の線あるいは面を見るということです。それも、不確定な「未来」を見ながら評価するということです。

CLILの評価を具体的に考える場合、dynamic assessmentが基盤にあって、従来の評価、科目内容の知識などの評価と言語(英語)の知識と技能の評価をします。私は、CLILにおいて学習者を評価する場合、いままでと変わらない評価のあり方でかまわないと思っています。特に新しい評価を開発する必要もないし、複雑と考える必要もないでしょう。しかし、大切なことは従来の評価の根本に、教育としての評価、dynamic assessmentの観点を置くことが重要と考えます。理由は、CLILの基盤が社会構成主義の考えにあるからです。これがいままでのcontent-based instructionと多少違う点と考えられます。評価もそうあるべきでしょう。

発表では、私自身がまだ今一歩明確ではないために、提案という形になりました。しかし、参加者の方からご意見をいただき、さらに、その後の会で様々な話ができて、かなり満足度の高い集まりでした。

いつもながら乱筆乱文にて失礼します。



2014年9月14日日曜日

神田外語大学児童英語教育センターでの発表

神田外語大学児童英語教育センターで発表しました。

第5回 小学校英語教育シンポジウム「教科として英語が目指す目標と指導のあり方」

という会で、私は、「小学校におけるCLILの可能性 ー英語学習を支援する教師の『こころ』」という題で発表しました。なごやかに話ができて楽しく参加者の方とやりとりができました。田中先生、河合先生、本多先生、ありがとうございました。もう一つの講演の伏野先生の「共同学習(cooperative learning)」ともうまく融合できそうだと感じました。

小学校では、英語が教科になるということがほぼ決まりとなるようです。関係の方々には重要な課題となっています。私は、ちょっと違う立場からこの点には大きな関心を示しています。が、小学校の現場の先生がたとはちょっと違うのかなという気がしました。この点はいい勉強になりました。

逆に、若い方から「CLILにすごく興味がある」と言われたり、あるいは、「実際に小学校で英語に携わっている方から、いままでもCLILやっていました。これからもっとやりたい」と言われたので、かなり軽い足取りで家路に着きました。

たくさん、話す内容を容易したのですが、時間もなく、大切な点はうまく説明できませんでしたが、いつもこんなものです。思ったことの半分も伝えられないし、誤解もされ続けてしまいます。伝えるということはむずかしいし、人は、考えていることはみな違うし、生きてきた過程が違うし、互いの背景も違うし、理解もむずかしい、と実感します。

そういう話は、私の最も興味のある「言語教師認知」です。私は、それを「言語教師のこころ(language teacher kokoro)」として考えていくことを決めました。その話は残念ながら今回もあまり話せませんでした。シンポジウムの趣旨とも大きく異なり、当然と言えば当然です。

さて、本題ですが、本日の発表で、小学校の英語の教科化に向けてCLILは大いに役に立つと改めて認識しました。ただ課題はあります。その課題に応えられればおそらく日本の小学校英語教育は世界に対しても大きく影響を与える英語教育ができると思いました。

一つは、早期外国語教育に対するこれまでの言語教育の知見に新しいアプローチを提供できる可能性があるということです。

ヨーロッパではCEFRを背景とした複言語主義(plurilingualism)と自律学習(learner autonomy)と文化間理解能力(intercultural communicative competence:ICC)の推進のために、早期外国語(英語)教育は主流です。そこに、CLILという政策的教育が導入されました。20年を経て、大きく広がりを見せています。しかし、参加者の方が指摘しているように、ヨーロッパのようには日本は進みません。それは当然です。

アジアでも早期英語教育は主流です。アジア的やり方です。CLILはそこではうまく進んでいないのが現状でしょう。当たり前と言えば当たり前です。CLILはヨーロッパの政策です。アジアではむずかしい。このような議論はあまり意味がないと考えるので、ここではやめておきますが、それでもCLIL的な考えはアジアでも次第に浸透しています。

そこで、日本の状況(context)に合った英語教育をCLILの要素を取り入れてカリキュラムを組むことが大切だと考えます。理由は、1英語使用環境、2教員研修、3学校(教育)文化、4日本語と日本文化に対する意識、などを考慮する必要があるからです。それはおそらく新しいCLILとなります。新しいかたちの

「科目内容の学びと関連させながら、英語がその科目内容に関連するところでどのように使われているかを提示しながら、それに関連する基本的な英語知識と技能の学びを支援する」CLIL

を目指したいと、現時点で考えます。

二つには、いわゆる欧米的な言語学習を基盤とした英語教育(TESOL, ELTなど)を背景とした早期英語教育の指導法に対して、日本の教育の伝統を背景とした授業研究によって、教科横断的なあるいは学校教育活動としての日本の小学校教育文化に適した言語教育(ある種のバイリンガルあるいはマルチリンガル)を開発するということです。

うまく説明できませんが、CLILはバイリンガル環境での教育です。「英語で理科や数学などを教える」ということと同義ではありません。4Cを原理として展開するCLILの特徴は「柔軟性」です。英語、理科、国語、社会、家庭、体育などと分けて考える必要はないかもしれません。英語を教える際に、英語の語彙をいくつおぼえた、文法構造で動詞の概念が分かるようになった、/ l /と/ r /の発音が正しくできるようになった、アルファベットが読めるようになった、書けるようになった、挨拶がいえるようになった、先生の指示が分かるようになった、などの、知識や技能の到達度を評価・測定し、判断する(assessment)は、それほど厳密にする必要があるかどうか。私たちは母語である日本語に対して、それほど厳密にそうしているだろうか?実際に英語が使えるようになった人は、学校の教師の評定やテストのスコアで、自分は英語が使えるようになったと実感するだろうか?あるいは、算数で足し算や引き算ができるようになるということは、日本語の理解も関連して、理解しているということで、それを厳密に分けて評価することは、果たして意味があるのかどうか?ことばは思考の対象でもあり道具でもあります。言語と思考、言語と知識、言語と技能を分けて考えることはかなりむずかしいでしょう。日本のように独特の小学校文化が強い場所では、それを活かして、英語教育を推進することが大切です。それも英語だけを分けて、アメリカなどの英語圏の文化に追随する英語教育はやはり持続的にはうまく行かないでしょう。それを、小学校の担任の先生は「よし」としないと思います。教育はもっと広い意味で考えなければいけないと考えるからです。

そこで、最低限の到達目標を設定(たとえば、CEFRにおけるA1)として、

日本の小学校教育文化に適したCLIL的英語教育の開発

を小学校の先生自身が開発することが、私は大切だと思います。それも、強制ではなく、それぞれの小学校の先生方に英語を使う体験型の研修の機会を与え、英語コミュニケーション能力を高め、英語が実際どのように様々な国で使われているのか理解してもらい、それぞれの教育環境で工夫してもらう。

シンポジウムを終えて、そんなことを考えました。

雑文で申し訳ありませんが、たいへん意義深いシンポジウムでした。ありがとうございます。








Think CLIL 2014 ベニス

8月のさいごにベニスに行きました。Think CLIL 2014 というヨーロッパのCLILの学会に参加するためです。

この8月はつごう3つの会でCLILに接したということになります。

8月 世界応用言語学会(AILA) ブリズベン
8月 JACET サマーセミナー
8月 Think CLIL 2014 ベニス(発表スライドは資料に掲載)

Think CLIL 2014では、CLILに関する発表をしたので、ここにスライドを付けておきます。内容は、CLILは教師の文化間意識(intercultural awareness)や文化間理解力(ICC)(intercultural communicative competence)も育てるということです。英語教師の役割は言語を教えることはもちろんですが、文化は、日本では「異文化理解」などとよく言われますが、私はあまり好きな言い方ではないので使わないようにしています。何故かというと、「内」と「外」という意識がすこにすでに生まれているような気がするからです。すでに定着しているのでどうしても使わなければいけないときは使いますが、ここではICCとしておきます。

私たち教師はこのICCをしっかりと理解しているかどうかはあやしいです。教師によってはかなり強い自分自身のビリーフを持っていて、それを強く押し出すことがあります。あるいは、人に押し付けることはしないが、決して自分の考えを変えない人もいます。そのことは意識しないと教師自身は分かりません。

発表では、CLILを意識して教えることで、このICCが育成できるということを発表しました。CLILは学習者のICCを育てることも一つ大きな目標としていますが、実は教師がその意識を理解し、教師自身がICCを見つけることが大切だということです。

CLILは、教師の教え方や教える内容や学び方を変える可能性があります。そのことにはとても興味があり、ずっと追求してきました。CLILに懐疑的な考え方を持っている人、CLILにどうしても納得できない人、CLILとは言っても結局「教える」ことだけにこだわってしまった人、教師はみんな違う考えを持っています。同様に学習者もそうです。分かっていても、実行できません。これは教師のおそらく特性でしょう。私もそうです。しかし、CLILという教育は、それに違った視点を与えて、ICCが身に付くと考えました。

発表は今一歩理解していただけなかったようです。。。。ま、くじけないでがんばりましょう。

さて、この学会はイタリアで行われましたので、イタリアの先生が多く参加しました。高校の最終学年でCLIL がカリキュラムに入っている関係でしょう。けっこう熱気がありました。それとともに、小学校のCLILも熱気がありました。イタリアの人はそれほど英語が得意ではなく、学校の英語授業もコミュニケーションを重視した授業とは言えない部分も多々あります。しかし、やはり、ここ数年でかなり変わってきていると思います。英語もイタリアなまりの英語で聞き取りにくい場合もあります。歴史のあるイタリアとしてはそれは変わらないでしょうが、それでも他のヨーロッパ言語などに関心を示しています。CLILもそれに乗じて浸透していることは間違いありません。そう感じました。








JACET サマーセミナー

JACETのサマーセミナーの報告をしましょう。8月18日〜21日まで草津温泉で行いました。参加者は50人程度です。テーマはCLILです。

CLIL and Content-based Language Teaching: New global perspectives of bilingualism and immersion


AILAが終わり、すぐにJACETのサマーセミナーがあったので、ちょっとたいへんでした。メイン講師は、Roy Lyster氏です。彼もAILAから草津のサマーセミナーへの参加でした。忙しい日程でしたが、おかげでたいへんよいセミナーとなったと思っています。

また、英検やオックスフォード出版も展示として参加してもらいました。参加者とテストや教材に関して意見交換ができ、貴重な機会だったと思います。

講義は下記のとおりです。幅広い知識を持ったLyster氏の4つの講義でほぼCLILという教育は理解できたのではないかと思います。

・Roy Lyster (McGill University, Montreal, Canada)

1. Introduction to content and language integrated learning
2. The role of interaction and feedback in CLIL
3. Integrating language and content through counterbalanced instruction
4. The role of teacher collaboration in CLIL
・Makoto Ikeda (Sophia University, Tokyo, Japan)

Experiencing and analyzing a CLIL lesson for university students

・Carol Inugai-Dixon (International Baccalaureate Organization, The Hague, Holland)

Developing academic literacy across the curriculum: a framework

さいごには、次のタイトルで締めくくった。

Discussion: Future directions of CLIL, CBLT, bilingualism, and immersion 
(Chair: S. Sasajima, Discussants: R. Lyster, C. Inugai-Dixon & M. Ikeda)

その他8人ほどがそれぞれCLIL関連のプレゼンテーションを行い、意見交換をしました。CLILは着実に日本でも根付いてきていると実感できた4日間でした。

公式に報告書も出ますので、詳細は控えます。ここでは、私の個人的な感想を書いておきます。

私は、このセミナーの企画から参加しました。4日間はけっこう長く年寄りにはきつくなってきました。しかし、小池先生も熱心に参加されていましたので、そんなことは言っていられません。

CLILのいつまでも続く疑問は「CLILとは何か?」です。このセミナーもそうでした。このセミナーに参加した多くの人がその疑問を持って参加したのではないかと思います。しかし、おそらく明確な答えは見つかっていないのではないかと思います。Lyster氏はカナダの人です。厳密に言うと、彼はCLILの人ではありません。彼はContent-based Langauge Teachingあるいはimmersionという用語でCLIL捉えています。別の意味ではbilingualismでしょう。これらの定義にこだわる人が多くいます。当然と言えば当然ですが、よく考えてみると、CLTの定義を明確に言うことができる人はいないでしょう。それでも、ほとんどの人がこのアプローチを受け入れています。しかし、その実態は多様です。

私は、どこでも「CLILとは何か?」にはこだわらないと言っています。すると、ある人たちはがっかりします。ある人たちは「?」となります。「定義がなければ授業にならない」となります。Lyster氏はこれに答えました。しかし、それは彼の理解であり、一般化はできません。同様に私のCLILの理解は「こだわらない」です。

セミナーでは、そのことも含めて日本のCLILのあり方を、The International Baccalaureate® (IB) も含めて考えたいと思っていました。目的は達成できませんでしたが、参加した多くの方が、CLILの意義やおもしろさに興味を持ち、実践してみようかと考えたのは事実です。

逆に言えば、多くの課題があることも見えてきました。科目内容の学習と外国語(英語)の学習を統合することの意義と具体的な方法です。CLILはおもしろいと考えている人たちはその明確な後ろ盾がきっとほしいのだと考えました。それがないと、日本ではやはりうまくいかないかもしれません。・・・などとちょっとネガティブ思考も生まれました。

いずれにしても、このセミナーのおかげで少しずつCLILの広がりが見えてきて、Lyster氏のカナダから見た考え方もよく分かりました。アメリカの影響の強い日本では、このことは私にとって貴重な機会でした。





2014年9月10日水曜日

8月 世界応用言語学会(AILA) ブリズベン

AILAでの私の発表はCLILとは関係なかったのですが、CLILはけっこう目立ったかもしれません。発表タイトルでCLIL関連のものは下記のとおりです。CLILがヨーロッパからさらに広がりを見せていることがよく分かります。

Content And Language Integrated Learning (CLIL) As A Catalyst For Research Cooperation In
Europe And Beyond

Relationships of Content and Language in CLIL

Lexical transfer in young CLIL and traditional EFL learners: a preliminary comparison

Extramural English, CLIL and the development of academic vocabulary in English among Swedish
students

Australian teachers’ perspectives on successes, challenges, and caveats of Content and Language
Integrated Learning (CLIL)

Gauging the CLIL effect: Results from a large-scale longitudinal study on German CLIL programmes

Vocabulary proficiency and progress among CLIL and non-CLIL students: a longitudinal study

TEMPUS, CLIL,DOTS, and beyond an adventure; Teaching content and language in an Israeli
engineering college

CLIL And Cognition: Taking It To The Next Level

Foreign Language Education Focusing on Subject Content and Individuality With CLIL and MI Theory

Writing progression, a comparison in a CLIL and a non-CLIL context

Investigating cross-curricular collaboration between L2 and content subject teachers in content-based
instruction programmes

Content-based English language teaching for at risk EAL students

Content and language integration in Swedish schools - the CLISS project

TEMPUS, CLIL,DOTS, and beyond an adventure; Teaching content and language in an Israeli
engineering college

Discrepancies between beliefs and practices?: Swedish content teachers’ language use in bilingual
education programmes

Content and language integration evidenced in interaction add: A micro level analysis

Fostering content and language integration with an online corpus of science and engineering lectures

Beyond borders’ researching telecollaborative geography education in a content and language
integrated learning setting

Improvement in L2 EFL Writing as a result of Content and Language Integrated Learning

私は、これらの発表のすべてに出たわけではありませんが、印象に残ったのは、研究面での模索です。この学会は、もちろん、応用言語学の学会ですから、その領域でのCLILの立ち位置を探しているような気がしました。やはり、CLILの根強い課題であるCBI, bilingualism, immersionなどとの差別化や、ヨーロッパからの広がりなど、理論的な面での脆弱性は、依然として、問われています。

その中でも、multilingualismの中で特に話題となっている「translanguaging」という用語がこの学会でも目立ったような気がします。codeswitchingなどのネガティブな面ではなく、「言語が交差する」という状況を肯定的に捉える視点です。特に、CLILの授業では、このような言語が交差して使われる状況は自然なことであり、かつ、思考が活性化される面があります。その探求は新たな視点を与えています。

もう1つ、この学会で印象に残った点は、オーストラリアでのCLILです。LOTEという観点から多言語教育を政策的に取っていたオーストラリアでCLILという用語が使われ、いくつかのプロジェクトが進行していることに驚きました。これはアジアにおけるCLILについての方向性を示す可能性があるのではないかと思います。

大会が行われたブリズベンは日本人にとっても馴染みのある地域です。多言語多文化状況はヨーロッパとは違いますが、別な意味でのtranslanguagingはふつうです。日本はどうでしょうか?状況は違います。異なる観点でこの問題を考える意味は大きいという気がしました。

学会の内容とは関係がありませんが、この学会にたくさんの日本の人が参加していました。別な意味で、この学会で、多くの日本の方と交流が持てて、貴重な機会でした。




2014年9月9日火曜日

EALTA学会での発表(Dynamic Assessment in CLIL classrooms)

かなりご無沙汰してしまいました。すみません。
ぼちぼちと追加しておきます。

まず、

5月末のEALTA学会での発表(Dynamic Assessment in CLIL classrooms)のことを書いておきます。

EALTA (European Association for Language Testing and Assessment)はテスティングの学会です。CEFRの研究の関係で会員になっています。特にClassroom-based Language Assessmentに関心があり、参加しました。

EALTA 2014資料

私は、そこでCLILの評価について提案してみました。あまりまとまった発表ではなかったので批判を受けるつもりで発表しました。

CLILの評価測定という点に関しては、CLILを実践し始めるとだれでも考えだすことでしょう。つまり、科目内容と英語を統合して学び、教師はそれをどう評価したらよいのか、というような疑問は自然です。そこで、従来の評価ではない考え方が必要だと思いました。

私は、ESPを研究実践してきたので分かりますが、ある分野に特化したESPの評価測定はむずかしい問題です。ESPは、「ある特定の(明確な)目的のための英語(教育)」ということで、英語という言語能力の評価をある分野に特化したかたちで評価します。CLILよりは明確ですが、それでもそう簡単にはいきません。

でも、たぶん、それは従来の考えにとらわれるからだと思い、ふつうに英語だけで考えて評価し、あまり追求しませんでした。たとえば、私は医学生を教えているのですが、基本的に医学に特化した英語の評価はしていません。あくまで英語の評価です。医学という領域の内容に関しての評価は、教師としてあるいは評価者として追求するよりも、学習者の判断にまかせたほうがよいと考えるようになりました。理由は簡単で、私にはできないからです。

考えてみると、CLILはESPよりもっと混沌としているので、さらにむずかしいかもしれません。ESPが「特定目的のための英語」を評価するのに対して、CLILは科目内容と言語を統合した評価をするということになるからです。CLILは、科目内容の評価を外国語を通してするわけですから、かなりむずかしいということは容易に想像できます。

しかし、ヨーロッパのCLILの基本は科目ですから、実際は、科目内容の知識や技能の評価が主になっているはずです。言語はそれに不随するのです。多くの場合、言語力はCEFRの6レベルで判断する、あるいは言語テストで判断する、という程度でしょう。それでよいかどうかは別ですが、現実としてはそうです。

私自身は、あまり評価のことを深く追求してきませんでしたので、それ以上は、ここではやめておきます。しかし、私は、少し違った観点で評価を考えるようになりました。つまり、CLILはいままでの評価測定という考えよりは、未来志向の評価測定が望ましいと思っています。成績の付け方は、いままでのとおり、学習目標があり、それがどの程度達成されたかで測ればよいのですが、CLILはそれだけではあまり学習者にとって意味がないと考えるのです。

EALTAというヨーロッパの学会のClassroom-based Language Assessmentの集まりで、それに触れた発表をしてみました。標題にあるとおり、dynamic assessmentという考えをCLILに取り入れてみてはどうかと考えたのです。しかし、それほど大きな反響はなかったというのが正直な感想です。従来の評価があるときの一端を切り取った静的評価だとすれば、dynamic assessmentは動的評価です。教師と学習者、学習者と学習者など、双方向性があり、かつ、学習者と教材など、未来に向かう教育的評価アプローチです。

私の趣旨は、assessementという考えをもう一度よく考えてみたほうがよいということです。テスティングの分野の考え方とは違い、大雑把ですが、assessするということは、評価を出すことではないし、現状の知識や技能のレベルを正確に把握して、学習者に伝えるということでもない、と考えるようになりました。つまり、dialogic mediation(対話のやりとりの中で学習者の学習の仲立ちをする)という考え方でよいのではないかと思い出したのです。この点は、私自身も確固とした理論があるわけではないので、ほんの思いつきです。

具体的に言うと、「成績をつける」というよりも、「ここが弱いから、ここをもう少し勉強して、学習を考えてみたらどうか。そうすれば、ここまで行けるよ」的なassessmentでよいのではないかと考えています。従来の形成的評価、診断的評価とほぼ近いですが、それをdynamic assessmentとして利用する方法を考えました。その考えを発表では提案しました。

その発表の際に、Tony Green先生が、learning-oriented assessmentという内容を発表していました。ほぼ同じようなコンセプトですが、私のdynamic assessmentの考えはもっとあいまいな発想なので、そのような指摘が当然ありました。ただ、参加してよかったのは、意見交換することで、少し具体化できそうだと思ったことです。

これは、また別の機会に。

この8月は、AILA、JACET Summer Seminar、Think CLIL 2014とたくさんのCLIL情報があります。時間を見て投稿します。ちょっとお待ちを。